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「死神執事のカーテンコール」へのお礼と、ゲラ読みさん募集のお知らせ

2019.04.20

突然ですが、ちょっと語らせてください。

作家のペンネームには寿命があります。

私はデビューして13年くらいのエンタメ作家です。
栗原ちひろ。この名前は今、13歳。
それは私が、今まで一度も筆名を変えなかったということ。
(同人誌なんかでは別ネームだったけど、それはまた別の話です)

読者さんたちにはどうでもいい話だと思うのですが、小説家にも成績というものがあります。どれだけ売れたか、どれだけ評価されたか、評価軸は大体その二つ。何かの賞を取ったり、という可能性がほぼないところで書いている私の場合だと、評価軸はどれだけ売れたかの一本になるんじゃないでしょうか。

成績が悪いと、ストレートに次の仕事に響いてきます。前の本があまり売れなかったのだから、と次の本を刷る数が減らされます。減りすぎると「うちからお仕事を依頼するのはちょっと」という話になります。新規で仕事を頼もうかな、という会社も少なくなります。

こういうことになると、作家は悪い成績に紐付けされたペンネームを棄てることがあります。

誤解して頂きたくないのは、他の理由でペンネームを変える方もたくさんいるということです。ペンネームを変える作家=売れない作家ではけしてありません。ただ、売れない作家がやむをえずペンネームを変えることがある、というだけの話です。

私の名前は13歳です。
はちゃめちゃに売れたこともないし、知名度は大したことがありません。変えても害はないというか、そろそろ変えたほうがフレッシュでいいんだろうか……なんてぼんやり考えたことがありました。特に産後は思うように仕事が出来ず、切迫早産の入院3ヶ月でふっとんだ出版予定も戻ってくるわけではなし。棄てて損することなんかほとんどないんじゃないかしら。
そんな風に考えていたときに舞いこんだのが、この本のお仕事です。

「死神執事のカーテンコール」小学館文庫キャラブン! さんから5/2発売です。華麗な装画イラストは山田シロさん。

この本は、「『栗原ちひろ』で『執事』はどう?」というコンセプトから始まった本です。栗原ちひろという名前のイメージから考えると、確かにありだなあと思ってお受けした仕事なのですが、これがきっかけなのかなんなのか、わらわらと「『栗原ちひろ』なら」というありがたい連鎖を生んで完成しました。

栗原ちひろという名前のイメージ、デビューの仕方から13年書いていたものの積み重ね、小説の中身や小説に頂いた美しい装画、挿絵、デザインの数々、仕事の仕方、書評家の方々や読者さんが書いてくださったレビュー、読んで好きだと思ってくださった気持ちそのものが、ひょいとひとつの仕事になって目の前に返ってきた感覚。

こういうのは13年目で初めてで、これがこういう時期に起こるっていうのは運命なのかなあとか、ああ、やっぱり栗原ちひろはやめられないなあ、とか思ったのです。

この名前を愛してくださってありがとう。
栗原ちひろ、まだまだやります。

「死神執事のカーテンコール」公式ページ(通販案内もあり)

4/20現在、書店員さんやレビュアーさん向けなら発売前の書籍を読むことができるNetGalleyさんにて、こちらの作品も読むことが出来ます。
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